福シネマ文化倶楽部#9 「MR.BOO!(ミスター・ブー)」を観て思うこと。 関矢秀幸

映画「MR.BOO!(ミスター・ブー)」を観て思うこと。

(40年ぶりに再鑑賞)
香港映画「MR.BOO!」は、私が学生時代に東京吉祥寺の映画館において、オールナイト上映を観て、腹の底から笑い転げた香港喜劇である。今になって再度観たいとアマゾンでDVDを購入した次第である。本映画は香港映画ではあるが、なぜか昭和を感じさせるノスタルジーがあり、私のように 70 年代を体験した人は懐かしさを楽しむことが出来る。それにいい加減ではあるが良い意味での荒削りな手作り感があり、それを味として見る事が出来る人は楽しめる映画である。

(あらすじ)
ウォン(マイケル・ホイ)は香港の私立探偵。助手チョンボ(リッキー・ホイ)と秘書ジャッキー(テレサ・チュウ)とともに探偵事務所を営んでいるが、持ち込まれるのは浮気や万引きなどのケチな事件ばかり。そんなウォンの零細事務所へ、カンフーの得意なお調子者キット(サミュエル・ホイ)が求職に訪れる。一度は断ったウォンだったが、直後に起きたスリ騒ぎでの鮮やかな対応を見て渋々雇い入れる。二人の助手をこき使い、相変わらずせこい事件を体当たりで解決していくウォン。次の調査は映画館への爆弾脅迫事件。だが、その映画館には脅迫犯のみならず、凶悪な強盗団も狙いをつけていた。

(笑いのツボはここ↓)
何の気なしに、友人と入った映画館であったが、笑い声が絶えず私も腹がいたくなった記憶がある。作品の随所に当時大ヒットした『ジョーズ』、『燃えよドラゴン』、『007ジエームスボンド』、『刑事コロンボ』、『ピンク・パンサー』、『荒野の七人』、『スパイ大作戦』等のパロディが百花繚乱のように散りばめられていた。特に『燃えよドラゴン』で悪の首領ハン役でブルース・リーと激闘を演じたシー・キエンが強盗団のとぼけたボス役を好演している。また、警察署長役で出演したリチャード・ンは、その後ジャッキー・チェン主演のスパルタン×・五福星・大福星等に出演し、当地の主演男優賞を受賞するなど、香港映画界に欠かせない存在となった。

(抱き合わせ配給で大ヒット)
当時の香港映画といえば、東宝東和配給であった。ブルース・リー最後の映画「死亡遊戯」の配給権も東宝東和であり、ゴールデンハーベスト社から、「MR.BOO(香港題名『半斤八兩』」もブルース・リーと一緒に買ってくれと頼まれ、東宝東和にとって『半斤八兩』は、『プルースリー死亡遊戯』(1978年)の配給権のオマケについてきた作品にすぎなかった。そのままお蔵入りさせていたが、1979年、映画の閑散期である2月の穴埋めに公開したところ予想外にヒットしたため、他のホイ兄弟作品も急遽配給することにした。なぜMR.BOOなのか、今になって調べてみたが、「マイケル・ホイが当時の高木ブーに似ていた」ことだったとは知らなかった(笑)

(公開時の背景)
「MR.BOO!」は、ホイ三兄弟演じる私立探偵のドタバタの活躍を描く、1976の香港コメディ映画である。ゴールデン・ハーベスト社製作のホイ三兄弟作品としては3作目だが、日本においては、1979年2月に本作が最初に公開されてヒットしたことから、以後シリーズ第 1 弾と紹介されている。「MR.BOO!」は、英領香港を舞台とする一連のナンセンス・コメディ現代劇映画である。マイケル・ホイが脚本・監督・主演を務め、準主役として実兄弟のサミュエル・ホイ、リッキー・ホイが出演。香港人のしたたかさ・たくましさや東西文化の軋轢を実経験や時事を取り入れて戯画化し、警察・政財界・黒社会などの権力を庶民の視点から笑いのめす、社会風刺的な映画となっている。

(長寿と健康の映画)
大学生の頃、大ハマリした「Mr.BОО!」再度DVDで見返したが、なつかしさでいっぱい、とても楽しかった!。吹き替えでなくても、バカバカしくて笑えた映画である。関連記事であるが、日本版DVD発売記念試写会に、マイケル・ホイが出席。劇中のソーセージヌンチャクも披露したとのこと。また、マイケル・ホイから「長寿と健康を保つ秘訣は、笑う、笑う、笑うことです!」との言葉あり会場も盛り上がったとの事。私も「Mr.BОО!」を観て、「ホイ三兄弟」に魅了された一人である。ブルース・リー以外に、香港という異国には腹の底から笑える喜劇があったと懐かしさいっぱいである。さすがに時代を感じる笑いであるが、なかなか面白い映画である。「長寿と健康」を保つために自宅観賞で大いに笑いましょう。

関矢 秀幸 (新潟福祉文化を考える会)(2021・6・25)

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